第36話

「真人」


真人は立ち上がり

いつも通り相手を

舐め腐ったように

バカにするような態度だ


相手は頭の前だ当然幹部

『俺は杉岡中の八代だ』

と金髪のロン毛

をツーブロックにし

後ろで結んでいる


真人は超接近し

『聞いてねーんだよ、

お前このボンタン通販だろ

ダセーな』

『なんだこの安っぽい

羽のネックレスも手作りか?』

とバカにしている


俺は思った

真人の悪い癖だ、あんなに

接近して無防備はやめろ

と言いたかった


俺は勇に

『喧嘩中はあれやめさせろよ』

と言ったが

『真人は基本舐めてかかるからなぁ』

と成り行きを見ている


相手は完全に真人のペースに

のまれているが、このまま

終われるわけがない


そう思っていると


『このやろう』

と真人の顎に完璧に手のひら

で下から上へ攻撃が入った

脳を揺らされると

最悪の場合すぐには

立ち上がれない


真人は二、三秒で立ち上がった


光ちんが

『あぶねーなぁ、あれしっかり掌底か

パンチが入ったらヤバかったぞ』

俺は

『余裕こいてお前なんかに

負けた覚えはねーって言いてーん

だろうけど、あれは危なかったな』

龍善が

『俺なら終わらせられたなと

 言った』


バッキーが叫んだ

『お前何の為にここに来たんだ、

 本気でやれよ、

 お前は薪ヶ丘の真人だろ』


と叫んだ


真人がやっと真剣になった

『痛てーなー、てめー殺す』


詰め寄り、右の拳で顔面を殴り

無理矢理頭を押さえ付け膝蹴りを

顔面に入れた後

相手の膝を革靴の踵で思いっきり蹴った

膝の皿が割れたか、靭帯か

関節技を叩いて喰らわせる

ような状態になり

八代という奴は右足を

必死でかばいながら

立っている


龍善が

『最初っからああやれよ』

と言い確かにと言うように

皆んなが思っただろう


だが相手も反撃に出た

膝をかばいながらで

力の入っていないパンチを入れ

殴られながらも真人の

手首を取り、逆方向に

ねじり上げた

が真人が思いっきり頭突きを入れ

手を離してしまった

もう八代に出来るのは

一つしかなかった


ズボンの後ろから

特殊警棒を引き抜いた


真人が

『おーそれだよ、それ

警棒でぶっ叩きやがって、こいよ』


と言い

八代が振りかぶった瞬間

真人は短い警棒を出し

喉に刺すように叩いた

短い分ギリギリ先に届いた


八代は倒れたが、

真人は

『こんなもんじゃなかったな』

と八代の特殊警棒を奪い


やられた箇所を倍にして

叩きまくり

肉を叩く音と、うめき声が響いた

渋谷が止めに入ろうとするが、


『おい、こっちはやられた分

やってんだけだテメーも殺すぞ』

と言い

気がすむまでめった打ちにし、

特殊警棒を握ったまま

『終わりだ』

と言い

戻ってきた


相手側の下のメンバーは

[もうヤバいよ

 真人って本当にヤバい奴だったんだよ

 てか強いの多すぎる

 傘下ってパシリにされんだろ

 ずっとだろ?

 その前に全員やられるよ]


ともうお通夜のようだ


対してこっちは


[やっぱ真人君こえーな

 うちの幹部くらいだろ普通に話せるの

 つーかもう勝ったじゃん

 やるの?大将戦

 いや、やるだろそりゃ

 俺たち最強だな

 相手のヤツらも下に入れたし]


もうお祭り騒ぎも最高潮だ


戻ってきた

真人が

『これいいな、もらうわ』

と言い特殊警棒を振り回した

光ちんが

『一応面子は保ったな、

最初倒れたけど』

俺も

『終わったーって思ったわ』

と帝南軍団は

はっはっはと笑っている


『次が最後だなと』

俺が呟いた

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