第37話

「仲間の思い」


次が最後か、長かったな

とあぐらをかいた足を

コンクリートの小石の

"ジャリ"っと音を鳴らして

体勢を変えながらつぶやくと


応援しているメンバーを代表して帝南から

矢田が

『皆んな信じてるから』

矢田には『任せろよ』と肩パンをし

浦学から

『任せる』

と言いに来た

浦学のヤツには

『生意気だ』

とデコピンをした

そして



バッキーが

『ここまで色々サンキューな』

勇が

『この借りは返すからよ』

真人が

『頼むわ』

前川が

『帝南の力見せてもらうわ』

聖川が

『メインイベントだな』

豊が

『悪いな負けちまって』

涼も

『お前なら大丈夫だろ』

龍善が

『いいとこ持っていきやがる』

光ちんが

『よし、帝南を背負って来い』

と光ちんといつもの挨拶のように

パチンとタッチして

光ちんと声を合わせ

『イェーイ』

とじゃれあい

『行って来るわ』

といつものように言った



俺の頭の中は


瞬殺するか痛めつけるか

迷っていた

瞬殺したらマグレだとか

相手側が言ったらダルいな

力を分らせてからにするか


と余裕があった


相手の頭の渋谷は

4校をまとめているだけあって

大したもんだ

自分が負けなければ、

仲間の心が折れる事はない事を

よく分かっている

下に就いても、いつかさらに

仲間を増やしてから内部抗争を起こし、

潰してやる

そんな顔をしている


身長は175.6、体重80キロ位か

いいガタイをしている

さっきボクシングやってるヤツいたな


アドレナリンが出ているのか

タンクトップにジーンズにブーツ

姿で仲間から声をかけられている


渋谷が

『立ち会い人に頼みたい』

と叫んだ

『今回俺たちは負けだ、認める、だが

俺が勝ったら相手全員と勝ち抜き勝負

させてくれ』


梁山からは

『もう勝敗はついた、汚いマネも

 してねー、俺たちの役目は

 終わった、甘えてねーで相手に聞け』


さすがに数十年最強を背負う

中学だ、立ち会い人として来たら

確かにその役割で終わるのが筋だ


当然こっちのメンバーからは

大クレームだ


[テメーもう負けてんだろ

男らしく認めろ

ルールは決めた通りだ

汚ねー事ばっかりしやがって

大体1人で勝ち抜き出来るわけねーだろ]


 俺は

『この辺で心を折っておくか』

とボソッと言い

 

 『お前頼み方があるだろ?

 あー?』

と怒鳴りつけた


 50人の前で頭を下げさせて

 負ければ完璧に終わりだ

 こいつ墓穴ほったなと思った


 皆んなが渋谷の次の行動に

 集中した

 渋谷は頭を下げなかった


 『テメーらに頭を下げたら

 負けたヤツに言い訳が出来ねー』

と言った


まぁ中途半端なヤツじゃないって事か

光ちんでも頭は絶対頭は下げない


 『じゃタイマンといこうか』


俺は背中に龍神の柄が入り

左腕に腕に帝南、右腕に龍神

と刺繍を入れた

スカジャンに紫色のズボンに

白に黒のラインが入った

デッキシューズで

指をバキバキ鳴らして前へ進んだ


渋谷は首を回しながら前へ進んだ

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