第17話


次の日、いつもより早起きして


気合を入れてお弁当を作り、


いつもより丁寧に化粧をして


制服と髪型を何度もチェックして家を出て学校へ向かう。


お弁当が偏らないように慎重に持って登校。


お昼休みの前に一度トイレに寄り


髪型をチェックして、軽くリップを塗り直し


屋上へ向かう。


屋上へ行くと、既に先輩は居て、顔に腕を乗せ眠っていた。


近寄ると、足音で目が覚めたのか起き上がる。


「お待たせしました。先輩ちゃんと授業出たんですか?」


「ん。今日は弁当があるから早起きした。」


開口一番で心を掴まれる。


ドキドキしながらお弁当を手渡す。


「ありがと。」


あぐらをかいて座っている先輩の隣に腰かけ


自分もお弁当を広げる。


お弁当を広げ箸を持った後、


何故か箸を戻す先輩


え、何か気に入らなかったかなとドギマギしながら様子を伺うと


お尻のポケットからスマホを取り出し


写真を撮って、箸を出し直した。


「いただきます。」


そう言って、初めに好きなたこさんウインナーに手を伸ばす先輩に


安心し、自分も食べ始める。


最近花粉とやらが飛んでいるのか


どうも鼻がかゆい。


我慢できずに反対側を向いて「、、くちゅんっ」


好きな人にくしゃみをみられるのが恥ずかしいと思うのは私だけなのだろうか。


恥ずかしさで、顔に熱が集まるのを感じ


反対側を向いたまま熱が引くのを待つ。


熱が引いてから顔を戻せば


ずっとこちらを向いていたらしい先輩と目が合う。


その温度の低そうな瞳が近づき


ふいに鼻を齧られる。


なんか、先輩やけに鼻を嚙むんだよな。


そのうち鼻に歯形が付きそうで嫌だ。


気になって、鼻を噛む心理について検索してみると、



愛おしい、守りたい、可愛がりたいという心理があると出てきて


胸が苦しくなる笑眞であった。


食べ終わり、「お口に合いました?」と尋ねれば


「ん。また時間があれば作って。」


なんて言われて満面の笑みで「はい!」と


答えた笑眞の鼻に


またもや齧りつく桃李先輩であった。






”桃李先輩は鼻を齧りがち。”

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