第14話


次の日 AM6:00


目覚ましもなしで目覚めスッキリしている。


後ろを静かに振り返れば


寝顔も美しい先輩。


頭の下に入れられたその腕に軽くキスをすれば


「、、、ん」


目が覚めた様子


「おはようございます。」


「、、はよう」


寝起きで少し掠れたいつもより低い声に愛おしさが溢れる。


「まだ早いので寝ててください。」


「、、、起きる」


起きると言ったまま瞼が閉じていく先輩を


微笑ましく思いながらそっとベットから抜け出し


顔を洗って朝食の準備をする。


軽く化粧もして、そろそろかなと待っていれば


ゆっくりとした足音で先輩が降りてくる。


「、、、起きた。」


どうやら私だけ先に起きたのが不服なようで


ジト目でこちらを見つめてくる。


それに気づいていないように


「おはようございます。朝食出来てるんで、顔洗ってきてください。」


「、、、ん。」


顔を洗って戻ってくれば、先輩の好きなオムレツがあるのを見つけ


少し表情から不服さが抜けていく。


そのまま朝食を食べていれば


ガチャッ「ただいまー。」


と玄関の方から声が聞こえる。


ん?お母さんの声にしては高いような、、、


と思っていれば


なんとリビングの扉を開けて入ってきたのは


昨日の美女であった。


「ちょっと、桃李。あんた私の靴の上に靴置くんじゃないわよ」


「、、、、」


「え?」一人パニックである。


もしかして修羅場?え、どういうこと?


と考え込んでいれば


「昨日は挨拶もなしにごめんなさいね。


桃李の姉の桃香です。昨日はあれからどうだった?


盛り上がっちゃった?」


なんて意地悪な顔で言われて


やられたーなんて苦笑いをしながら


「こちらこそご挨拶が遅くなりました。


新堂 笑眞です。それについてはノーコメントでお願いします。」


そして朝食を食べるか聞けば


すぐ出かけるというので


玄関で桃香さんを見送る。


先輩はリビングに座ったまま。


「突然ごめんなさいね、驚いたでしょ。


今度2人でゆっくりご飯でも行きましょう。エマちゃん。」


「こちらこそ、お邪魔していてすみません。


ぜひ行きたいです。」


そう笑顔で返せば、


「桃李。あんなだけど、ガールフレンドはあなたが初めてよ。


これからも仲良くしてやってね。」


なんて言われるのでびっくりしてしまった。


付き合っていなかった1年生の時、


女の人と歩く桃李先輩を何度も見かけていたので


てっきり元カノは星の数だと思っていた。


爽快と出かけて行った桃香さんの背中を見送り


リビングに座ったままの先輩を見つめる。


視線に気づき先輩がこちらを向く。


「、、、?」


「、、、抱き着いてもいいですか」


「、、ん。」


そして甘えるように正面から抱き着けば


痛いくらいに抱きしめ返される。


(先輩の最初で最後の彼女になりたいです。)


そう先輩の腕に包まれながら思うのでした。






数分後、


「もう大丈夫です。ありがとうございました。」


「、、、、、」


「?って先輩、苦しいです。」


なかなか離してもらえなくなりました。





”桃李先輩は語らない。が、愛情表現が上手い。”

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