第12話


週末になり、今週は土日と先輩のご両親が実家に


帰るということで、土日バイトは休みにして


2人だけの休日を味わっております。


土曜日11:00


春物の服を買いたいという私の要望で


今日は買い物をして、その後先輩の家にお泊まり


の予定。


念入りに、髪の毛のチェックをして


泊まりということで、大きめのバックと、


肩掛け鞄を持ち


「行ってきます。」と声をかけ


家を出る。


外に出れば、今日も整った顔の先輩が


今日は自転車に乗って待っていた。


「おはようございます。お待たせしました。」


「ん。鞄乗せる。」


そうして私の鞄を奪うと、前カゴに乗せ


自転車に乗り、「乗って。」と言う。


「お邪魔します。」と後ろに乗れば


「、、、、」


スカートの私に気付いた先輩は


自分の羽織っていた薄手のシャツを腰に巻きつけ


乗り直し、自転車を漕ぎ始めた。


目的のショッピングモールとは逆方向で


「あれ?どっか行くんですか?」


「先に家寄って荷物置きに行く。」


「了解です。ありがとうございます。」


どうやら荷物が多くなることを見越して


自転車で来てくれたらしい。


あまりにも自転車が不似合いな先輩の


細めの腰に腕を回し


たまには自転車もいいな。なんて考える。


荷物を置いて、結局電車でショッピングモールに着き


時刻は12:00


「先に昼食べよ。」


「はい。何が食べたい気分ですか?」


「、、、、」


「オムライスとかどうですか?」


「ん。」


オムライスが好きな先輩。何も言わない先輩の代わりに


提案すれば、満足げな返答があり


オムライスを食べることに決定する。


店につき、メニューを見ていると


先ほどから1Pと2Pを往復する先輩の視線


どうやらクリームオムライスと


デミグラスオムライスで究極に悩んでいるらしい。


迷いすぎて、困った時に右耳のピアスをいじる癖が炸裂している。


「クリームオムライスとデミグラスオムライス頼んで半分こしません?」


「ん。」


見兼ねて提案すればご機嫌の様子。


結局半分も食べれない私の代わりに


半分以上づつ先輩が食べてくれた。


意外とよく食べるんだよな。


どこに入っているんだろうか。


綺麗に食べた先輩は最後に口についたソースを


ペロリと舐め取り、満足げにこちらを向いた。


その可愛らしい仕草も


美しい顔でされると


色気を感じてしまうもので、


少し鼓動が速まるのを感じた。



13:30 買い物スタート


男女の服が売っているショップに入り


服を見ていると春っぽい桜色の大きめのTシャツを


見つけ、手にしていると


「いらっしゃいませ。春の新作なんすよ。その色、可愛いっすよね〜」


と少しチャラついた店員のお兄さんが


接客に来た。


すかさず、メンズコーナーを見ていた先輩が


こちらに戻ってくる


「え!彼氏さんですか?めっちゃイケメンっすね


美男美女カップルで羨ましいっす。


このTシャツ、メンズもあって、カップルでお揃い


にするの推してるんすよね。」


褒めちぎられて、気分を良くしたのか


「笑眞、それ買うの?」


「こういうダボってしたTシャツ欲しかったんで


いいかなって思ったんですけど、どうですか?」


「ん。お兄さんこのTシャツ、レディースのMと


メンズのXLお願いします。」


と声をかけると


店員さんと話しながらレジへ向かってしまう。


え、、先輩もピンクのTシャツ着るんだろうか、、


想像してみる。




、、、、、めちゃめちゃあり。


1人で妄想していると店員さんと戻ってきて


「彼女さん、このTシャツお揃いコーデ


お2人で撮らせて貰えませんか?2人が来てたら


絶対流行るっす!」


「私はいいですけど、、先輩はいいんですか?」


「、、、ん。」


そうして撮られた写真は


Tシャツのポップにされた。


着替えるのも面倒だし、今日はこのままでいっかと

お揃いのTシャツのまま店を出る。


それからTシャツは売れ切れてしまったそうで


その後、街中で同じTシャツを着ている人が


多すぎて、外で着たのは1回きりになってしまった。

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