第11話



緊急事態です。


現在、学校終わりに先輩と映画を見に来ています。


映画も後半に入り、感動のシーンで


映画館の中は静まり返っており、


さっきまでポップコーンを食べる音がどこかから


聞こえていたのに、今はそれもやんでおります。


が、しかし、こんな時に限って、、、


くしゃみが出そうなのです。


本気でまずい。


もう我慢できそうにない。


せめて音が小さくなりますようにと


両手で目一杯鼻と口を押さえつけ、


さらに自分のお腹に吐き出すようにして


「・・・・・くちゅんっ」


恥ずかしぃ、、、と思いながら顔を上げれば視線を感じ


隣を見ればこちらを見つめる先輩。


どうやら手を離されたことにより


こちらを見ていた模様。


おしぼりで手を拭き、


くしゃみをみられた恥ずかしさで


反対側を向きながら手を差し出す。


握られた手を急にひかれ、そちらに目を向ける。


「?」  ガブッ


「?////!?」


噛みつかれるようなキスを一瞬されて


もう映画どころじゃなくなりました。




映画が終わり、


「先輩。公共の場ではやめてください。」


「、、、気をつけてる。」


「、、、」


え、気をつけてるんだ。、、、これで?




”桃李先輩は気をつけている。”  らしい。

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