第6話

いつもの学校帰り


今日はお互いバイトがないので先輩の家に


お邪魔することになった。


「お邪魔しまーす。」


「先部屋行ってて、飲み物持ってく。」


「ありがとうございます。」


2階に上がって右側にある先輩の部屋にひと足先に


入らせてもらう。


部屋にはデスク、イス、パソコン、TV、ベッド、


ソファ、ローテーブル。


そしてシンプルな色合いの部屋にやけに目立つ


赤色のクッション。


これは先輩が私様に買ってくれたものである。


今日もそのクッションを相棒にソファに


腰掛けて待っていると


私の好きな甘さ控えめのカフェオレを持った


先輩が入ってくる。


入ってきて早々


ネクタイを取り、着替え始める。


裸を見たことはあっても


着替えを見るのは何となく恥ずかしくて


窓の外に視線をずらす。


そしてTシャツにハーフパンツに着替えた先輩は


広いソファなのに、密着する様に隣に座り


左腕を私の肩に回して座ると


落ち着いた様子でTVを付け出す。


「ゲームでもする?」


「いいですね。私結構強いですよ。」


そう言って始まったアクション系のゲーム


私のキャラはぷかチュウで、


先輩は青いトゲトゲしたキャラで戦っている。


5戦5勝。流石に女としてどうなのであろうか。


大人っぽい先輩がちょっとずつムキになっていく。


「なんでそんなに強いの?俺結構このゲームやってんだけど。」


「あー、弟によく付き合わされるんですよね」


「聡太か。確かに好きそうだもんな。」


「そろそろ違うゲームにしません?」


「ん。何がいい?」


「あ!これ!私やったことないんでやってみたいです!」


そう選んだのはマルオカート。


弟の聡太が、興味ないので1度もやったことが


ないゲームなのだ。


そして5戦5敗


「え、先輩このゲーム強すぎません?他のコンピューター難しいレベルですよね?」


「、、、まあ」


「私ずっと4位なんですけど、、」


「嫌いじゃないから、このゲーム」


「あ、実はめっちゃ好きなんじゃないですか?!このゲーム!初めからそう言って下さいよ〜。そしたら初めからこれにしたのに」


「なんか、子供っぽいじゃん、」


「え、、、」


「なんか言えよ」


“マルオカートが好きだなんて子供っぽいこと


言えないって思ってる先輩が可愛すぎます”


なんて言えなくて出てきた言葉が


「好きです」


少し驚いた表情を見せた後


苦しそうな顔をして


私の鼻に噛みついた。





“桃李先輩はマルオカートが好き。”

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る