第2話

「♪~~~~」


学校からの帰り道、


なんだか今日の桃李先輩は機嫌が良すぎて恐ろしい。


恐る恐る、尋ねる。


「あの、桃李先輩、何かいいことあったんですか?」


「え?別に、、、何か変?」


「いや、、ただ機嫌いいな~と思って。」


「そ?」


終了。


「♪~~~」


鼻歌と共に今度は繋がれた手を振り出した。


ほんとに何があったのか、


この無口な人の代わりに誰か教えてほしい。


無表情で鼻歌を歌う恐怖に気づいてほしい、、、


なんやかんやで、私の家までたどり着き、


いつも通りお礼を口にする。


「今日も送ってくれてありがとうございました。


また明日。」


「ん。」


うっすら微笑むと急に背を曲げた先輩。


びっくりしている間に顔に影ができて


唇が奪われる。


すぐに離れた後、頭に手を置いて


「また明日。」


と極上の笑顔を披露し、帰っていった。


結局、機嫌がいい理由はわからないままだったが、


いいに越したことはない。


深く考えるのをやめ、部屋着に着替えていると


携帯の振動に気づいた。


着信「こた兄」


幼馴染であり、桃李先輩の友達である人物からだった。


「もしも『おい!エマ!桃のやつ、とうとう可笑しくなっちまったぞ!』


「ちょっと、こた兄声でかい、耳痛いよ。」


『おお!悪い悪い!そんなことより、桃のやつが今めちゃくちゃ面白い電話してきたんだよ!』


「え?桃李先輩?そういえば今日、帰り様子が可笑しかったんだよね」


『なんでも、いつもは自分が手を出さないと繋いでくれなかったのに


今日は何もしなくてもエマから手を握ってきたんだ。可愛すぎるだろ。だってよ!!www」


『おいエマ、いつの間に桃をあそこまで惚れさせたんだ?別人だよ!www』


そこまで聞いて、帰り道やけに機嫌が良かったのはこれか。


と納得したのであった。

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