第27話
「……で、きた」
寝る時間すら惜しくて、一晩中描き続けたソレは明け方になって完成した。
キャンバスには踏みしめる音が聞こえるような真っ赤な落ち葉と、それを背景に幸せそうに笑う少女がいる。
溢れんばかりの想いをキャンバスに落とし込む。それだけのことがどうしてできなかったのか。
……きっとあの時の感動に固執していたからだろう。理想になんて絶対になれないというのに。
気づいたのも、気づかされたのも、1人の少女だというのだから。何が起こるかわからない。
『私の想いはこの外の部分にもいっぱいあるんだよ!』
『想いは写真の『中』だけで終わりになんてならないんだよ』
「……ハハ、なるほどなぁ」
『コレ』は確かに、消えてしまったら悲しい。
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