第15話

「おはよー雪くん……」

「おはよ。……何?寝不足?」

「だって雪くんが何にも教えてくれないから。気になって寝れなかったの」

「あれ、言わなかったっけ?」



 のんきにそう言う雪くんをジトーッと見ていると、彼は気まずそうに視線を逸らした。



「そろそろ紅葉の季節だろ。最近は莉子の撮影も安定してきてるしたまには外で撮ってみるのもいいんじゃないか、と思って」

「カメラ持ってきてよかった!」

「……俺たちは練習するために一緒にいるんだから、持ってきて当然だろ」



 そう言われて確かに、と納得する。あれ?じゃあ私はなんで持ってこないなんて選択肢がよぎったんだろう。

 首を傾げていると、電車の時間を調べていた雪くんが顔を上げた。



「場所は考えてんだ。電車乗るぞ」

「了解!」

「元気だな……」



 元気にいこうよ、雪くん!

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