第13話

「ま、コレで安心したわ。俺は絵で、莉子は写真で、選択は間違ってないってことだろ」



 本当にホッとしたような表情で雪くんが笑う。と同時に今日ずっとなんとなく感じていたピリピリした雰囲気が消えた。

 よかった、進路に関して何か言われたのかな。いつも通りみたいにしてたから触れなかったけど、ちょっと。ちょっとだけ。さみしい……?


 チクッと胸が痛んだ気がして、首を傾げる。あ、違う違う。お礼を言わなくちゃ、わざわざ付き合ってくれてるんだから。



「雪くんがいっぱいアドバイスしてくれるおかげで、ちゃんと写真取れるようになってきたでしょ?最近ね、私すっごく楽しいの!」

「そりゃなにより。……俺も、まぁ楽しいよ。一人で描くよりかは」



 最初は控えめだった雪くんも素直に口に出してくれるようになった。アドバイスも、もちろん辛口だけど。

 こういう出会いを運命だと言うのかもしれない。そんな馬鹿みたいなことを言ったら雪くんは怒ってしまうかもしれないけど。結構本気で思ってるんだ。

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