第10話

「いや、……それが分かれば莉子さんもマトモな写真取れるようになるんじゃないですか」

「確かに!」



 私の言葉について考えてくれた雪くんはそう結論づけた。目標、かもしれない。これも。

 もちろん第一は納得できる写真を撮るってことだけどね!



「うん。なんかいけそうな気がしてきた」

「……ま、俺が手伝えることなら言ってよ。……あー、莉子」



 雪くんがそう言って私に。――え?雪く、ん。え!?今私のこと。というかタメ口で!

 バッと彼の方に顔を向けると、同じタイミングで彼も私から顔を背ける。心の中で何かがジワーッと込み上げてくる感覚がして、耐えきれずに笑顔が漏れる。



「ありがと、雪くん!」

「なにがだよ」



 そっぽ向いた雪くんはごまかしてるけど、ほんのりとほっぺが赤く色づいているのが見えた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る