第3話

「撮れないんなら、絶対撮れる物で練習しなよ。じゃあアップルパイよろしくね!」

「ははぁ〜。じゃあねー」



 くるりと背中を向けて楽しそうの自分のクラスへ帰っていく背中を見送る。

 ちなみに購買のアップルパイは私が行く頃にはいつも売り切れてたりする。マズイ契約をしてしまったかもしれない。


 指差された私の腕の中で鎮座するアルバムは、どれもこれも被写体が見切れていたり、そもそも写っていなかったりと散々だ。



「はぁ~……、撮れるのかなぁ」



 高校に入って写真を撮り始めてから、私はずっとカメラの外しか見ていない。


 一瞬をカメラに収めろって言われるけど、そんなすてきな瞬間は私自身の目で見たいよね。

 花なら、まぁ、勝手にいなくなることはないか。1年分の重さのアルバムを持ち上げて首を傾げる。ね、どうしようか。



「行ってみる?」



 口のきけないアルバムは黙って私に従うしかないのだ。

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