第12話 チャクラが開く、今日子の第三の眼が開眼した
(月に目に六芒星?まてよ)と京太郎はスマホを取り出してググってみた。
しばらく調べてから言った。
「やはりそうか。これはチャクラのマークだ」
「チャクラ?」
今日子と恭美が同時に言った。
「そうだよ、スマホでググってみれば分かる。第二チャクラ、セイクラル・チャクラのシンボルマークは三日月だ。そして今日子さんの目は、ずばり第三の眼だから第六チャクラ、アージュニャー・チャクラのシンボルマークになる。恭美さんの六芒星は第四チャクラ、アナーハタ・チャクラに該当する」
そして、京太郎は無意識に腕をテーブルの上に乗せた。
無意識にというところがミソだ。
(無意識に動いているは、無意識に動かされていると同意語だ。つまり、何らかの力が働いている。それは間違いない。そのときは、素直に、無意識の指示に従わねばならない。無意識は絶対的存在だからね。それに逆らうと痛い目にあう)
「この痣の上に、二人の手首を合わせてみて」
「手首を? 表でも裏でもいいの」と言いながら、三人のマークが重なり合った。
そのとき、まさにそのとき、三人は体内から込み上げる異質の膨大なエネルギーを実感した。
京太郎は、臍下丹田に位置する第二チャクラが燃え上がり、凄まじい量のエネルギーがクンダリーニと化して脳天に至り、突き抜けて行った。
(なんだこれは)
パワーが十倍アップしたかのように体中にエネルギーが満ち溢れていた。
恭美はエネルギーが胸のチャクラに充満しており、それがたまらずに暴発するという感じだ。
恭美は思わず叫んでいた。
「みんな、私から離れて」
そして、ラジオ体操第一のように両腕を伸ばした。
その人差し指と中指から、文字通りシャー!という音が聞こえるような勢いで何かがほとばしり出た。
(これは気じゃないわ。霊力? 伊賀風に言えば妖力ね。チャクラにエネルギーが充満したら二本の指を使って撃てということかしら?)
今日子は、額というより眉間のあたりにエネルギーの充満を感じた。
(眉間? 使い方が分からないわ)と思うや否や、急に視界が明るくなった。
(あっ? 絵文字の目、俗に言うところの第三の眼が開いたのかしら?)
「見えるわ、見える、はっきりと……でも、見えたのは花山院さおりではなく、宇佐美龍賢よ、その正体が見えたわ。彼は狐よ、白狐よ」
「ん、おかしいわね。狐が人に憑依して人を操るなんてことはあるかしら。あっ、よくみると狐じゃない。白髪をなびかせた人間の霊ね。顔が長いから狐に見えたけど人間だわ。細いあごを持つ逆三角形の輪郭をして目が細長いわ。狡猾な表情の狐のような顔をした人間。日本人じゃないかもしれないわ」
「なるほど、だから神棚に狐を供えていたのですね」と京太郎が謎が一つ解けたというような顔つきで、毒舌を繰り出した。
「なにがたいした話ではないだ。全然、たいした話じゃないか。ま、狐にウソはつきものですが」
「でも、どのように戦えばいいの」と今日子が尋ねた。
「相手は霊ですからねー。僕は肉体の方の龍賢を倒します。今日子さんには子狐である念琳の方をお願いしょうかな。そして、霊体の方は恭美さんのアナーハタ・チャクラから放出される霊力にお任せですね。それ以外に方法はない」
「そうね、私やってみるわ。果たして戦えるかどうか分からないけど」
「なに、通用しなければ、その時は逃げればいいだけですよ。相手は霊ですから。直接に危害は加えられない……と思いますけどねー。こればっかりはやってみないと分からない。ま、いい経験になるのではないでしょうか」
京太郎の飄々とした風情はマジだった。
言っていることも飄々としている、否、しすぎているが、忍者だから、これぐらいテキトーでないと動けない。
何事も計画は立てすぎてはいけない。
計画にこだわりすぎると失敗を恐れて動けなくなるというのは一つのセオリーである。
と思っている間に今日子の第三の眼の視界が薄れ出した。
「あっ、急に視界が薄れてきたわ。あっ、何も見えなくなった。なぜ? これってタイムオーバーってこと?」
恭美が時計をみながら言った。
「およそ三分間ね。三分で時間切れ。ウルトラマンみたいだわ。もう一度、手首を重ね合わせてチャージしてみましょうか?」
京太郎が言った。
「いや、僕はやめた方がいいと思う。回数制限があるかもしれないから。回数制限にかかったら万事終わりになってしまう」
「そうよね、この異常能力が永遠に続くとは思えないものね。続いたらお化けだわ」
「そうよね、恭美さんの言うとおりだわ。私だって、常に第三の眼が開いていると見えなくて良いような幽霊の類が見えてしまうので、それはご勘弁願いたいわ」
「ま、確かにそうだよね。地上の幽霊ってほとんどが地獄霊でしょうからね、見る価値のある幽霊なんて存在しないでしょう。だから、見えない方がいい」と京太郎も今日子の意見に賛同の意を示した。
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