第3話 連絡先

壱月視点


一学期初めの授業は中学範囲の確認テストだった。中学の頃は困らない程に勉強はしていたので、ある程度は解けたと思う。午前中にテストが終わってしまったのでもう帰宅らしい。


「なぁ、壱月テストどうだった?」


前の奴が後ろを向いて話しかけてきた、席はしばらく昨日のままらしい。


「まぁまぁかな」


「そうやって言ってー、どうせ高いんだろ?」


「そういうお前はどうなんだよ」


「俺?うーん、まぁ100点ぐらいかな」


「見かけによらず、すげーな、お前」


「まー、3教科でだけどな」


「なんだよびっくりさせんなよ」


「てか、名前で呼んでくれよ」


「わかったよ晴翔」


他愛のない会話をしながら荷物をバッグに詰めていく。まだ12時を少し回ったぐらいなのに、頭を使ったせいかお腹が空いていた。早くご飯を食べたかったのでHRが終わり次第すぐに教室から出た。校門を通り過ぎたぐらいで、昨日買った本を机の中に忘れたことに気づいた。少し面倒くさかったが、後で読もうと思っていたので取りに戻ることにした。僕のクラスは3階の端にあるので戻るのはちょっと大変だ。


クラスに戻るとほとんどみんないなくなっていた。陽キャグループが残っていると思ったがどこかに遊びに行ったのか、いなかった。


ただ、1人まだ教室に残っている人がいた、名前は確か、一ノいちのせ空歩そらんだったっけな、気にせず本だけ取って教室を出ようとしたら、椅子を引く音が聞こえた。ふと振り返ると、そこには一ノ瀬さんが立っていた。


「あ、あの…連絡先交換してくれませんか?」

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春夜の蒼月 たこぼう @takobou

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