柚凪月の短編集

第9話 引きこもり

私の息子は引きこもりです。

息子の部屋からある時から出てきません。

引きこもり初めてから出てくるところを見たことはありません。

しかし、毎日ずっと部屋の前にいる訳ではないのでその時に出ているのでしょう。

息子の部屋の前に何度も食べ物を置くのですが、手をつけられた事はありません。

私達は信用ならないと言う事かも知れません。

息子が部屋に引きこもり始めたのは中学2年の時。

いじめがエスカレートし、息子の目が失明しかけた辺りで始まりました。

その時先生に伝えられるまでいじめに気づけなかった私を息子は恨んでいるのでしょう。その時の恨みから与えるご飯を食べないのかも知れません。

もう息子の顔を4年は見ていません。

夫に息子の話をすると泣き出し、私を何処かへ連れて行きます。

「楽しいところ」だそうですが、いつも病院へ連れて行かれます。

息子が失明しかけた時のトラウマで病院に行くのでしょう。

息子が引きこもり、夫が狂ってしまい、私は生きる意味が分かりません。

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私の妻は狂ってしまった。

事の発端は息子のいじめと自殺。

いじめにより失明しかけた息子は睡眠薬を一気飲みし、帰らぬ人となりました。

そこから妻はストレスで倒れてしまい、息子の葬式にも出れないほどでした。

ある日、回復した妻は言いました。

「ねぇ、（息子の名前）が部屋から出てこないの」

悪い冗談かと思いましたが、心の底から心配したふうに語る妻を見てゾワゾワと鳥肌が立ちました。

それから妻は毎日息子の墓石の前に食べ物を置き、延々と何かを呟いています。

家に帰るのは寝る時と息子のご飯を作る時だけです。

妻が息子の話をすると耐えられ無くなり泣いてしまうことがあります。

そう言う時は覚悟を決めて息子が死んだ事を話し、妻を精神科に連れて行くのですが、妻は言葉にならない事を叫び帰ってしまいます。

どうすれば良いのでしょうか。