第6話 精神病棟

頭痛とともに目が覚める。


俺「ここは…?」


目に入ってきたのは古い銀光りする扉。

白く汚れたベッド。

恐らくトイレと思われる壁がある場所。

扉の小窓から漏れ出る光。


まさに監獄って感じだ。


何か罪を犯した覚えはない。

ドッキリか何かだろうか。


女「お目覚めですか」


その声は扉の向こうから聞こえている。

ギィィ…という音とともに扉が開く。

声をかけたのは白衣の女だ。


俺「ここはどこだ。なんで…俺はここにいる」


女「ここは精神病棟」


俺「精神病院みたいなものか…まさか俺が」


女「少し違います。精神病棟は精神を閉じ込めておくものでございます。」


俺「精神を…なんだって…?」


女「衝撃的な事を目撃したりし、心に大きな揺らぎを起こしてしまった人の精神を取り出し、正常に戻す場所でございます。貴方様は友人の自殺現場を目撃したようでございますね」


俺「友人の自殺…あぁ…思い出してきた…。これをどうやって消すんだ?」


女「精神をちょっとミードロいたします」


俺「ミードロ?」


女「体で言う手術にございます」


俺「手術か…。少し怖いな。他にはないのか」


女「しかし、今現在も行っておりますが?」


俺「…は?」


女「背中をご覧ください」


俺はとっさに後ろを見る。

よくは見えないが、床から出てくるどす黒い腕が俺の背中の皮を剥がしてるように見えた。


女「確かに少し手荒ではございますが、友人の自殺のことはさっぱり忘れられますよ」


俺「いやだ!!やめろ!!」


女「そんなに動くとミードロが失敗してしまいますよ…。しようがありません」


周りの風景がぐにゃりと曲がる。

闇に落ちていくような感覚のあと、意識を失った。


ーーーーーーーーーーーー

俺「はぁ!!」


いつもの天井。

いつものベッド。

いつものドア。

ここは俺の家だ。


今のは夢だったのだろうか。

よく思い出せない。


とりあえず郵便受けに新聞を取りに行く。


郵便受けの中には見慣れない封筒が入っていた。

封筒を開いて中の手紙を読む。


なになに、葬式に来て欲しい、だって?

誰のだ?


ふ〜む。友人の俺にスピーチをして欲しい、と。


しかし…これが誰の葬式なのか、思い出せない。


ーーーーーーーーーーーーーー


「どうやら成功したようね」

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