第5話 本

町外れの古本屋ある分厚い本。


埃をかぶって表紙も色褪せたそれに、女は何故か魅力を感じて買ってしまった。


その本の表紙はオレンジなだけで何も書かれておらず、

小説かエッセイ文か図鑑かさえわからない。


女は適当に真ん中のページを開く。

そこには、何かの地図が描かれていて、家の一つに印がつけてあった。


女はこの地図に見覚えがあった。

この地図は女が住む街であり、印は女の家についているのだ。


自分の家に印がついていることに驚きつつも、

地図帳かとガッカリしながらページを捲る。


直後、女の家は倒壊し女は死んでしまった。


本は何故か古本屋に戻っていた。


今度は男が買って適当に読んでみると、やはり男の街の地図で、

印は駅前についていた。


変な本を買ったことを後悔しながらコンビニに出かける。


コンビニに行く途中、駅の前を通ると通り魔がやってきて男を刺してしまった。


本はやっぱり古本屋に戻っていた。


ある時地震が古本屋の本を揺らし、床に落としてしまった。


落ちた本は風もないのにパラパラとページを捲られ、

太陽系が書かれたページで止まった。

印は月についている。


少しして、突然月の軌道がおかしくなり地球にぶつかって、

地球は壊れてしまった。


本も今度ばかりは燃え尽きたのであった。

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