第17話 悪夢

悪夢を見た。

学校のことだった。

頭を抱えているとリサさんが

「寝起き最悪なパターン?カオリっち」


「ちょっと夢を見て…」


今日は土曜日だ。

作業療法がない日。


この窓のところに居ると落ち着く。

嫌だった勉強も進む。


するとポンポンと肩を叩かれた。


「カオリさん、お元気ですの?」


ユキノさんだった。

昨日の今日でちょっと怖かったけど

はっきり聞いてみた。


「昨日はなんであんなことしたんですか?」


「急に癇癪を起こしてしまいますの。私


怖がらせてごめんなさい、よかったらこれ

貰ってくださいませ」


そう言って手に渡されたのは

高級そうに包まれているチョコレートだった。

このブランド知ってる…と思いながら、


「これ、高いやつですよね?

頂けないです!」


「いいんですの、私迷惑かけましたから」


リサさんとなんで仲が悪いのか

聞いてみた。


「リサさんとは…」


「リサとはここに入った時も一緒。

私とリサの病気も一緒。

何故か、衝突しちゃうのです。」


ユキノさんが暴れるからではないかと

思ったが言うのはやめた。


リサさんの病気は気になった。

だけど、今は聞かなくてもいいかと思った。


「チョコレート有難う御座います」


「疲れたら、チョコですわよ」


そう言ってユキノさんは部屋に戻った。

暴れなければ、普通に話せる人なんだと思った。


「カオリ〜」

お風呂を上がってさっぱりした

リサさんが戻ってきた。


「さっき、ユキノさんにチョコ貰いました」


「はあ?!なんで?」


「昨日のこと、謝りたいって」


うーん、とリサさんが

頭を抱える。

「そんな対した話してないですよ、大丈夫です」


「なら、いいけどお」


「チョコ、食べます?」


嬉しそうにリサさんが笑った。

甘いもの好きなんだと初めて知った。


「ほら、」


「そ、そんな、ポッキーゲームみたいな!

で、できないですよ」


グイッと顔を向けられて

リサさんと距離が近くなる。


パキ


「ほらね、半分こ…ってあれ?

なんか耳まで真っ赤だけど」


「リサさんは誰にでもそーゆーこと

するんですか…」


しないよ!なんて言って

床にうつ伏せになる。


この気持ちはなんなのか、

わからなかったが

チョコレートをくれたユキノさんに対して

少しムッとした。

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