第8話 ユウという人間

「ごくん」

お昼の薬を飲む。


リサさんの薬の数に少しだけ

びっくりした。

べーっと、薬が残ってないかやっている。


薬を飲み終わるとすぐさまどこかへ

行ってしまった。


どうしたのだろうと

なんとなく、後をつけると

トイレに入っていった。


吐いてる声がする。


「リサさん、大丈夫ですか、リサさん」


ガチャンと鍵が空く。


「カオリ…あんな薬飲まなくてもあたしは

大丈夫なの、ただ大量の薬を飲まされて

薬でコントロールされたくない」


「体調は大丈夫ですか?一応お水でも…」

腕を掴まれる。

少し涙目のリサさんが言う、

「大丈夫だから、心配しないで」


「わかりました…」


「そーだ!今日はカオリに紹介したい

人いるんだよね」


さっきまで吐いて涙目だったリサさんとは

思えないくらい明るく話す。


コンコン


「ユーウ!」


「リサ…朝から声でかすぎ。」


あんたダレ。」


そう言われてギクリと身体が動く。


「す、すみません、カオリです。

3日前くらいからここに来ました。」


「リサが連れてくるってことは

お気に入りってこと、ね」


目の下のくまがすごくて

ショートヘアの小柄な人だった。


「あたし、ユウ。かなりの不眠症なんだ」


ふあーとあくびをする。


「ユウ、カオリもカナエのとこ

連れていこーよ」


「カナエがそう簡単に受け入れると思ってんの」


カナエ。


初めて聞いた名前。

受け入れる?なんの話だろう。

ましてやユウさんともいま

初めてあったのに情報量の多さについていけない。


「カオリなら大丈夫だよ」


「じゃあ、14時」


「あ、でも作業療法が…」


リサが肩を組んで言う

「今日だけ、サボって、ね?」


「…はい」


「じゃ、ユウあとで迎えに来るからね」


はいよ〜と手を振って

ドアを閉じた。

ユウさんは個室だった。

そうとう眠れないのだろうと思った。


「ユウさんって何歳なんですか?

すごい若くてビックリしました」


「あー、ユウはね、32歳」


「え?!」


「見えないっしょ!てかあたしも17歳だよ


カオリと一緒」


いつ誰に聞いたのか謎だった。

「ユウはあたしのつぎにここの常連さん

かなりの不眠症で、大体寝てるかなー。

カナエのとこにいく以外は」


「ユウさん、すごく幼いですね…」


「カナエなんて、14歳だよ?!


もっとびっくりすることあるかもねー」

なんて、ケタケタ笑う。


やっぱり、私はここには

まだ慣れていない。

今日の作業療法はサボることとなる。

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