第5話 新人
ご飯を目の前にして、私は思っていた。
食欲がない。
この場所から絶対出てやる。
そんなことを思っていたら
声が聞こえた。
「それ、食べないの」
手首に包帯を巻いた金髪の子が言う。
「ごめんね、新人来ると驚かせたくなるの」
そうケタケタと金髪の子は笑う。
なにがおかしいのだろう。
意味がわからなかった。
「…食べません」
そういうと、私のミートボールを
その子が食べた。
「んー、おいしい、あ、私リサ」
金髪の子は、リサという名前らしい。
ここにいるのが不自然なほど明るく
笑う子だった。
「カオリです。これあげます。」と
残りのミートボールをあげた。
「カオリ…ね、仲良くしよっ」
この子と仲良くできるのか、
すごく、不安だった。
なんで仲良くするのか、わからなかった。
不思議な子だ。
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