本当の標的
翌日も翌々日も深島藍は僕達の前に来ては
噛み付くように嫌味を言って来た。
さすがに深島の友達は着いて来ず、
一人で喧嘩を売る形になっていたが
知ったことかと言うように堂々としていた。
しかし今日は違った。
鈴森さんはバイトで望はバスケ部と早々に別れて僕一人の時に深島は来た。
鈴森さんが標的かと思ったがどうやら違うみたいだ。
僕が標的でそれに巻き込まれたのが鈴森さんということか。
「深島も飽きないね、
そんなに僕が嫌ならスルーしとけばいいじゃん」
「そんな格好で大学内うろつかれたら目立つでしょ。
そもそもそんな服着て大学来ないでよ、
何しに大学来てんの?浮いてるのに気付いたら?」
「だってまず自分が可愛くないと気分上がんないじゃん?気分上がんないまま勉強なんて拷問でしょ」
深島は僕の返答に苦虫を噛み潰したような顔をして
「馬鹿じゃないの?」
と捨て台詞を吐きその場を去ろうとした。
でも僕の言い分はまだ残っているため、慌てて深島を呼び止めた。
「ねぇ、僕が標的なら鈴森さんを巻き込むの止めなよ。
鈴森さんは何も悪くないでしょ」
何度も何度も考えたけど鈴森さんが悪く言われる理由がいまいち思いつかなかった。
空回りも多いが根が優しい、
彼女の性格は控えめに言っても超がつくほどお人好しだ。
そして僕より先に関わってる深島は
その性格をよく知っているはずだと思った。
すると
「うるさい!あんたもあんたの周りもみんな嫌いなの!
あんたの存在が鈴森にも武光にも迷惑かけてるんだよ!
あんたさえ消えれば…」
と叫びに近い大声で言い、
走って逃げてしまった。
突然の大声に周りの注目を浴びて居た堪れない気持ちになり、
僕もすぐにその場を後にした。
昔から変に色々言われてきたけどあそこまで嫌われるのは初めてだ。
大体僕のこと言う声は根も葉もない噂や容姿についての陰口で、
深島の言い分的に僕が深島に何か悪いことしたようなそんな内容みたいだった。
でもそこまで嫌われることした覚えは無いし
この間の鈴森さんへの悪口が初対面だ。
忘れていることも絶対に無い。
そもそも僕に関わろうとする人が少ないため、
例え少しだとしても関わったり話したりする人は顔も名前も覚える。
「…分っかんないなー」
まあとにかく深島藍は鈴森なのはではなく僕が標的なのだと分かっただけでも十分か。
なぜ嫌われてるのか、
僕が何かしたならそれは知りたい気もするけど
深島が僕を嫌っている以上変に首を突っ込むのも近付くのも避けた方がいい。
お互いのために。
その思考で一旦区切りをつけて、
大学を出ようとした時
「あ、あの…」
と声掛けられ振り返ると深島藍の周りにいた深島の友人達がいた。
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