好きな人のお姉さんと恋バナ
七咲さんのお姉さん、愛香さんは
絵に描いたような清楚で美人なお姉さんだった。
美優さんも美人さんでかっこいい系のギャルを体現したような人で
果たして芋女の私はここにいていいのかと思いながら
今私は様々な色の布を当てられていた。
「なのはちゃんはイエベ春カラーが似合うね!
肌が綺麗に見える」
「あ…、私こういうオレンジすごく好きです!
七咲さんが似合うって言ってくれたスカートもこの色ですごく好きになって…」
と言いかけて愛香さんがきょとんとした顔をしていたのに気付いた。
「……!!
ごめんなさい!弟さんを邪な目で見てしまって!
違うんです!いや違くはないのですが!」
「やだ、なのはちゃん…あおちゃんのこと好きなの?」
お姉さんにバレてしまうとは、と思いながら
沸騰しそうなくらい熱が集中する頭を縦に振った。
すると愛香さんは私の手を握って
「ちょっとやだー!嬉しい!
あの子浮いた話ないでしょ?
ずっと望くんと一緒だし、恋愛興味無いとか言うし!
ね、恋バナしましょ?お茶入れるからそこに座って!」
興奮状態で捲し立て、
まるで嵐のような勢いでお茶を入れに消えてしまったため理解が追いつかなかった。
恋バナ?私が?愛香さんと?
ただでさえ昨日七咲さん本人に言うだけで
もどうにかなりそうなくらい恥ずかしくて緊張したのに?
壊れかけのロボットのようにぎこちない動きで席に座ると、
すぐ愛香さんが紙コップに入ったココアを手に戻ってきた。
「お茶切らしちゃって、
コーヒー飲めるか分からなかったからココアにしたけど飲める?」
「は、はひ!飲めまふ!」
声が裏返り、更に噛んでしまって恥ずかしさが増した。
こんな子が弟を好きだなんて…とマイナスなイメージを持たれないだろうか。
恐る恐る愛香さんを見るととても優しそうな顔で
「ふふ、リラックスして大丈夫よ。
取って食おうなんて思ってないから。
ほら深呼吸して」
と微笑みながら
すーはー、と一緒に深呼吸した。
「で、なのはちゃんはあおちゃんのどういう所が好きなの?」
「___可愛いのにかっこいいところとか、
素直に可愛いって伝えてくれるところとか…。
昨日も似合わないメイクを直しながら
私の気持ちを聞いてくれて、
七咲さんがしてくれたメイクはまるで魔法みたいで…。」
昨日、鏡に映る自分の顔は
自分の顔じゃないみたいだった。
昔見ていたテレビの中の人みたいに垢抜けたような感じ。
『可愛い』を教えてくれて、『可愛い』を体現する人。
それでいてなんの恥じらいもなく可愛いって伝えてくれる所はまるで王子様みたい。
子供のような感性でしかないけど
変にかっこつけてないでサラッとかっこいい所を文字にしてしっくりくるのが王子様だった。
可憐な見た目と王子様みたいな性格が
私に絶妙に嵌ったのだ。
「今日、ちょっとだけ昔の話をしてくれて、
私は強い七咲さんしか知らないから…。」
「……もし昔のあおちゃんと出会ってたら好きにならなかった?」
「分からないです。でも好きになってたかも。
最初は一目惚れのようなものだったので。
まぁ、女の子だと思ってたんですけど…」
と小さく笑った。
田舎から出なかったら男が女装なんて!って言われていたかもしれない。
女子力高い男子ですら女々しいと
あまり良い目で見られないかもしれない。
ホームシックとか都会に疲れた私に
田舎から出てきて良かったと思った大きな存在は間違いなく七咲さんだった。
それは中学、高校で出会ったとしても変わらないと思った。
「なのはちゃん、あおちゃんのことよろしくね。
あの子前と比べたら別人かと思うくらい強くなったけど、
傷ついてないわけじゃないと思うから。
チリツモで壊れることがあるかもしれないからね。」
お姉さんは二人の仲を応援してるからね、と
愛香さんは優しく微笑んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます