第171話
「そしたら星來がいつの間にか、青兄に処女もらってもらったって言うから。……だから、悔しくて。むしゃくしゃして手当たり次第、抱いた……。」
「…………」
星來の表情が初めて変わる。朱朗に怪訝な眼差しを向けたのだ。
あたかも自分のせいでクズになったと言っているようにしか聞こえない。
「あ、違う!星來のせいじゃない!そういう意味で言ったんじゃない。」
「…………」
「全部俺が悪くて。俺は昔から負けん気が強いから。俺の嫉妬が星來を傷つける結果になって、ほんとう、ごめん。」
朱朗が、再び頭を深く下げる。
それを遠目で見ていた他の生徒たち。目立つのに、朱朗はやめず、星來もそれを止めはしない。
「…………」
そっと顔を上げる朱朗。
ポケットからスマホを取り出すと、画面をタップし、ある画面を出したまま、丸いテーブルの上に置いた。
「けじめとして、スマホを初期化する。」
「え、」
「まずはリセットする。」
「……仕事の連絡が、あるかもしれないのに、」
朱朗の真顔が、ほころぶ。星來が今日初めて話してくれたのだ。
「俺はこの先ずっと星來と一緒にいたいし、星來のいない人生なんて考えられない。」
「…………は、」
「だから。星來とこの先の人生を歩んでいくためにも、俺はもう他の女と遊ばない。」
「ま、まって。」
「ごめん、星來が俺とは別れたいっていう言葉は、一切受け付けないから。」
「勝手すぎる」
自分勝手な性格は変えられないのか。ただそうは言ったところで、星來が今まで通り朱朗と付き合うとは限らない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます