第164話
『その弾丸はこんぺいとう』のクランクアップまで、なんとか撮影を乗り切った星來。スタッフや監督からは花束が送られ、その様子が動画配信された。
視聴率は上々。後半の物語は、実際前半の放送が始まってからの反響を元に脚本が作成されていった。そのため、放送最終回ぎりぎりまで撮影が続いたのだ。
不二海とのキスシーンを終えたのは、ほんの5日前のことだった。
アイドルなので、唇アップのシーンはない。それぞれの背中から撮られるシーンとなり、不二海とのキスはただのフリとなった。
「なんつーか、星來ちゃん。撮影中はプロの顔だったけど、休憩中は死んだ魚の目だったよね。」
「……なにがあったか、聞かないの?」
「俺こう見えて元クズだから。弱ってる女の子に弱いんだわ。手え出すといけないから聞けない。」
それが不二海の優しさかどうかは分からない。
ただ最後の不二海の言葉に、星來はぴくりと反応してしまう。
「というか、なんとなく俺に拒否反応ある?」
「え?」
「俺を見る時、目が泳ぐっていうか。怖がらせてたらごめんね。」
「…………」
異性が怖くないといえば嘘になる。
いくら長年の幼なじみとはいえ、あんな風に力でねじ伏せられるようにして襲われかけたのだ。
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