第161話
「知ってる?星來ちゃんがストーカー被害にあってたの。」
「……ストーカーまがいとか、なんとか。」
「まだ14歳の子が信頼していた幼なじみに転ばされて、17歳の子がストーカー被害にあって。それが彼女にとってどれだけのトラウマになるか、理解した上でNTRしたの?」
「………え、」
「男に対しそんなトラウマ抱えた子が、好きでもない男に抱かれるわけないでしょ。」
「…………」
元々ここ最近、寝れずじまいで顔を青白くしていた朱朗だったが。さらに血の気が引いていく。
17歳の時、居酒屋で勢いで星來が頼んだ『処女をもらって』発言。あれはもちろん本気ではなかった。青司には20歳になったら『もう一度来なさい』と言われたが、星來は17歳以来頼むことはなかった。
もちろん一弥とセックスしたことも真っ赤な嘘。
なぜ星來がそんな嘘をついたのか。愚問である。
そのきっかけでもある朱朗とリカちゃんの手つなぎデートが、どれだけ星來にとって辛いものだったか。
ただの一般人ではない。星來はあの時すでにプロの女優。
それが朱朗の“浮気”スクープにより、世間から有無を言わさず“浮気された女”のレッテルを貼られたのだ。プライドをずたずたにされたのだ。
他の男に抱かれたと、好きな相手に嘘をついて何が悪いのか。
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