第156話
しかし、そこでたまらず、星來が嗚咽をもらす。
「う、うぁあっああ、……あああ――――」
悲鳴が、ただの泣きじゃくる子供のそれに変わる。
ふと、黒い侵食から意識が引き戻される朱朗。
女を抱くのに慣れている朱朗は、悟ってしまったのだ。
「う、うそ。。ごめ、ごめん、せいら…………」
「うる、さいいッ」
自分の上に乗っていた朱朗の重みが軽くなった隙をみて、ソファの上にあったクッションを思い切り投げつける星來。
朱朗は、確かに感じていた。
―――――星來は処女だと。
クズという経験者は頭の中で語る。濡れることのない指、あまりにも狭すぎてどこに入れるのかも分からなかった。
「なに。なんで……??」
朱朗の頭には疑問ばかりが次々に浮かんでいくが。それを一つ一つ口にできない。自分がまずいことをしてしまったという罪悪感と、星來が処女だったという嬉しさに頭が追いつかない。
そして、処女を知られてしまった星來は。朱朗への対抗策が無くなってしまい。
気が動転して、手当たり次第のものを投げていた。
「いやだ、きらい、嫌い嫌い大キライ!!」
「ごめん。本当に……ごめん星來」
「もう全部…ぜんぶ嫌だ!!わたしばっか我慢して!!」
「………う、うん」
「あやふやな関係もつかれたし!他の女とセックスしてるあんたなんて世界で一番きらい!!」
「………だよ、ね。」
「肯定されるのもいや!!なんでわかんないの?!」
涙も鼻水も止まらず、ただ情緒不安定な子供みたいに癇癪を起こす星來。
とりあえず、星來に拒まれ抱きしめることも出来ず。リビングの電気を点ける朱朗。
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