第155話

そこまで拒まれることが理解できない朱朗。笑えない王子はよくて、自分が駄目な理屈がいくつあっても足りない。



ただ自分の身体は好きな女の身体を欲するばかりで。さかりのついた生き物のように、それでいて頭の中はずっと不足分を補うように理屈を並べてきた。



我慢する理由なんて最初からなかった。



我慢しなければ他の女で補填することもなかった。



全部全部、星來に嫌われることを恐れてきた自分と、自分を拒んできた星來が悪い。



大好きなのに。憎くて壊したい。



相反する彼女への愛情が比重を競うようにして求めていく。いつしか天秤もふられないほどに。壊したい気持ちが膨らむ。




俺のくだらない欲が、呑み込もうとする。



星來の思考を、身体のひとつひとつのパーツを、臓器を。





「んんッ、や、やだぁっ」



涙を流し始める星來。



それでも朱朗の黒い欲は収まらず。星來が嫌がれば嫌がるほど、侵食されていく。



なんで。なんでこんなに自分を拒むのか――――   

            

    

「あ…あっッ」



朱朗がリビングの絨毯に星來を押し倒す。



腕をまとめ上げて、ロングスカートを捲っていく。



「ねえ、あろー!!おねが、おねがいだから!話をきいて!!」   


      

でも朱朗は無言のまま。星來のショーツに手をかけ、無理やり手を入れていく。



冷たい。手の温度も、唇も。視界を阻もうとする朱朗の刺すような瞳も。



「こわいよッやだ、やだぁあ」



悲鳴にも似た星來のわめき声。体内に滑り込むその声が気持ちいいと朱朗の思考を侵す。もっと、聞きたくて聞きたくて。



しばらく二本の指で擦るようにしてから、中への侵入を犯そうとする。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る