第149話
「――――だめ!!」
一弥が星來の腕をつかみ引き止める。
「でも!朱朗が!!」
「ドラマの主役なんでしょ?!馬鹿なの星來!」
「そうよ!私はクズじゃなくただの馬鹿なのよ!!」
視聴者の目に触れないとはいえ、ここで助けに飛び込めば、星來と朱朗の関係性が参加者や観覧者に怪しまれる。
いやここまで走って駆け寄ってしまったのだ。もう手遅れかもしれない。
すると救護班に助けられた朱朗が、顔を出して叫んだ。
「ぷはぁ!!泳げないの忘れてたーーー!!」
本当は泳げるのだが。
周りに怪我だと思わせない、朱朗の咄嗟のハッタリだった。
会場全体が安堵のため息を漏らし、拍手をし始める。
そして星來の顔を見た朱朗が言った。
「母さん!夕飯はコシヒカリだけでいいから!!」
ほっとし安堵のため息を漏らしたと同時に、涙が溢れそうになった星來。ようやく冷静になり、ぐっと涙をこらえる。
「味噌汁も、つけるから!!」
その親子のようなやり取りに、会場は苦笑い。なんとか二人は子役時代の戦友という肩書を保つことができたようだった。
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