第145話

しかし最後の第四難関。まだ誰もそこまでたどり着いていない未開の地。


     

頭上には鉄筋で組まれた四方に広がるはしご。そこから伸びる4つのポール。ポールからポールへと飛び乗り、最後の足場に飛びのらなければならない。


    

ポールに身体全体でつかまるようにして、1つ目に飛びのる一弥。さすがにポールからポールへ移る際の足場がないため、一弥も戸惑っている様子。



落ちれば約5メートル下の池へと真っ逆さまだ。 

 


「いけ一弥ーーーー!!」  

「いったれーーー!!!」 


  

不二海や華井の応援にも熱が入り、星來も手に汗握る想いで見守る。ここをクリアすれば、最後は100万円までのジャンプ台だけだ。




クリアした後の予知が、―――星來の頭の中をよぎる。



もし100万円獲得すれば、本当に私、一弥と付き合うの?それって……朱朗には一応“別れ話”を゙した方がいいのかな。



“別れ話”をして、今まで二人で過ごしてきた幼なじみとしての付き合いはどうなるのだろう?もう、ほとんど会う機会もなくなってしまうのかしら。



朱朗と一緒に決めた名門大学への入学はなんだったのか。自分のために買ってくれたものや株主優待券は?部屋に飾る絵は?駐車場も一弥専用になる?



どうするのが正解なの?ねえ、朱朗。



――――一弥が必死な中、星來は朱朗と“別れた”後のことを考えていた。



   

すると、観覧者から一斉に悲鳴の嵐が起こり。



はっとし我にかえる星來。ふと見れば、一弥が池に落ちていた。



「ぐあーーー、まっじかあ〜!!」



華井が立ち上がって悔しがる。他の観覧者も一斉に立ち上がって。



どっと場を揺らすような拍手喝采が沸き起こる。



―――――しかし、朱朗と星來は。



二人とも座ったまま、お互い視線を合わせ見つめ合っていた。

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