第142話

「朱朗、なんか身体引き締まったよなあ。」


「華井は相変わらずスタイル抜群でうらやま。」


「そら歌って踊らないかんと。腹筋必要だし。」


「口パクの癖になに言ってんだか。」


「……」



新曲の初披露で呼ばれていたRainLADYの他メンバー。一弥の応援係として華井がすでに、局の側にある『HANZO』のメインステージで控えていた。



「それにしても。この短期間であの王子はよく鍛え上げたよなあ。」

「あれはやると決めたらストイックやけん。」

「おん。」

「目標も達成するまでやるしな。」

「おーーーん。」

 


オープニングが始まり、ベテラン司会者が場を盛り上げる間もなく、周りが勝手に盛り上がっていく。





クイズ形式で新番組の番宣が次々と行われていく中、あっという間に星來が移動する時間となった。



しかし移動したそこで目にしたものは。女性アイドルと楽しそうに喋る朱朗の姿だった。



「朱朗くん。なんか益々かっこよくなったよねえ。」

「そう?ミレイちゃんも色気増したんじゃね?」  



観覧席で前後に座る二人。3人組の地方アイドル出身の彼女は、すでにクズと関係を持った後なのか。カメラが何台もある中で、ひときわ目立った距離感だった。



「(こんなに心配している私が、馬鹿みたいじゃない!)」



星來の席は朱朗の隣。でも行くのをためらってしまう。

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