第124話
次の日、『その弾丸はこんぺいとう』のスタジオで、不二海と撮影を共にしていた星來。
「ドライからいきまーす!」
音響や証明、カメラを使用しない
アミューズメントバーで見た不二海は、タバコをふかし、世間を見据えたような瞳で、人としてスレたような印象があった。しかしスタジオでの不二海は、常に笑顔をみせ、爽やかな印象でしかない。
星來は清純派として偽っている自分と同じようなものなのかもしれないと思った。
「君が作るスイーツは高級食材が使われてない?!たったこれだけの材料で高級スイーツのような味が出せるなんて!」
「嫌味なやつ!あたしは商店街で育ってきた女だよ?あんたみたいなおぼっちゃんにあたしのお菓子が分かってたまるかってーの。」
アイドルであっても不二海の演技力は俳優並み。彼の演技を動画サイトで見ていた星來も本気の演技で挑んだ。
小さい頃は舞台でばかりで活躍していたせいか、大げさな演技が悪目立ちしていた星來。
しかし映画やドラマの自然な演技を研究し、レッスンを重ねていた甲斐もあってか、朱朗との『淡色と常套句』では高評価を得ていた。
不二海も周りのスタッフも、星來の演技に呑まれそうになる。
「テスト入りますか?」
「いや今の二人の空気、勿体ない!このまま本番いっちゃおう!」
カメラや音響、証明を入れてのテストを抜かし、そのまま本番に突入するシーンが相次いだ。タリーランプが絶え間なく灯る。
「ではお二人、休憩入ります!」
別の出演者のシーン録りが行なわれ、星來と不二海は一旦休憩に入ることとなった。
それぞれスタッフやマネージャーに次のシーンの説明を受け、話し終わったのを合図に、不二海が星來に「行こう」と口パクで伝える。
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