第108話

「あ、あの。せーらちゃんっ!」



二人の近い距離に、突然割り込んでくるRainLADYのセンター。まさに無遠慮にセンターに入りこんできた。



亜泉の顔は赤くなっており、星來はてっきり、今の一弥とのやり取りを聞かれたのだと思った。



しかし亜泉は、一弥の怒りを買うであろう案件を星來に差し出した。



「あのさ、……オフショ、見せてくれて、ありがとう。。」


「あ、うん?」

 


亜泉にスマホを差し出されて、画面が目に入る。



「ごめん……その、見るつもりじゃなかったっていうか。いやオフショは俺が見たいとは言ったんだけどさ」



フィルターのように暗さがかかるスマホ画面には。星來の下着姿のオフショットが映し出されていた。星來が液晶を明るくする。



「ッあ、ほんとごめん!まさか下着姿のオフショがあるとは思わなくて!」


「…え?うん?」



星來は思った。23歳の男が何を赤くなっているのか。



今や女優やアイドルが下着姿をメディアでみせるのは当たり前の時代。それにエースを務める亜泉であれば、下着どころか女性の裸見放題ではないのだろうか。



星來の男の基準は、常に“朱朗”だった。


 

ロングカーディガンを下げ、洗面台にもたれかかる星來の下着姿。レースだけであしらわれたミルク色で、白い肌と同化し、遠目には裸にも見えてしまう。



写真集では視線を外し、ほのかに官能を誘う描写となっているが、オフショットでは視線バッチリの笑顔で、『#彼女とおうちデートなう。』状態になっていた。

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