第100話

一弥は中学の時、その中性的な顔立ちからいじめにあい、孤立していた。まだその頃は背も低く、身体の線も細かった一弥。美声は甲高く、男女おとこおんなだとからかわれていた。



しかし孤立していたのは星來も同じ。仕事で休むことが多く、友達といえる友達は出来ない中学生活。遠巻きに見られることも多かった。



まだ一弥はアイドルとして活躍していない時期だったが、同じように芸能事務所に身をおいている仲間として、星來から一弥に声をかけたのがきっかけだった。



最初一弥は、いじめに巻き込んではいけないと星來を無視していたのだが。星來の一言が、彼の考えを変えた。



『もし私がいじめに巻き込まれたら、風音の一族が黙っちゃいない。私は有名脚本家の娘よ。』

 

『…………』 


『あら、私がこうして早咲きの女優になれたのだって曽祖父のお陰なの。思う存分権力を振りかざして返り討ちにしてやるわ。』

 


清々しいまでに七光りを公言する星來。その純粋なイメージから、もっと大人しいタイプだと思っていたのに。



星來と友達になってからは、周りにからかわれることもなくなった一弥。14歳でRainLADYのメンバーに抜擢されてからというもの、背はぐんぐん伸び、身体つきもたくましさを増した。



いつの間にかいじめられていた立場が、周りから見惚れられる存在となっていった。

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