第92話

少しだけ我が家の三男に慰められた青司。朱朗の隣に、大きなため息と共に腰を下ろす。



ただの自由きままな三男だと思っていたが、恋愛に対するポジティブさは悪くないのかもしれない。

  


だから青司は、そんな朱朗にエールを送ることにした。



「朱朗、本気で星來ちゃんに惚れてるなら、いい加減体裁を改めなさい。それとその焼け酒声も。」


「青兄はどうなの?その春風ちゃんに惚れてから、一度も他の女と寝てないって言い切れるの?」


「なぜこっちに飛び火」


「自分が出来ないことを他人に強要するやつ、俺よりクズだし」


「ああ、そうだね。僕は朱朗の兄だから。同じクズの血を分けてるよね。」 



朱朗は14歳の時のウォーキングレッスンで、聖來が青司にメロメロだった事実を忘れちゃいない。処女を奪ったのは青司でなくとも、敵の一人であることに変わりはなかった。



そんな若い反抗心をむき出しにする朱朗に、青司は兄として正しい道へと導かなければならないのだ。

 


「春風を好きになってから、一人だけ。抱いたかな。(ビジネスを除く)」



果たしてその発言は本当に正しい道となるのだろうか。青司が脚を組み、赤い顔で朱朗に微笑む。

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