第75話
明日の星來のスケジュールはフリーのはず。だから何をしても大丈夫。約6時間にも及ぶ撮影終わりでも、21歳クズの思考は変わらない。
「…………勝手すぎる。」
深夜1時。星來が万人がつっこむであろうその言葉を、玄関に立つ朱朗に向けて言った。
「勝手きままなプードルでごめんね?」
「あら、プードルは聡明で誠実なはずですけど?」
「勝手きままなキティがお利口にしてればプードルも従順になるけど?」
「ところでプードルはお腹は空いているのかしら?」
「キティを食べたら満足するかもね?」
「全ての会話が疑問形なのはなぜかしら?」
あきれ顔の星來は、すっぴんでも綺麗だが、メイク時よりも少しばかりの幼さが残る。小さい頃から見てきた顔。メイク時よりも安心感がある。
そんなすっぴんの彼女を見れてほっと息をつく朱朗だが、星來からすればこんな時間にやってくる幼なじみに対し鉄壁を作る他ない。
「そこから一歩も動かないでねプードル。」
「なんで?」
「キティは着替えてくるからロビーででも話しましょ。」
お風呂上がりの星來は半袖シャツにショートパンツ姿で。オーガニックコットンの薄い水色のルームウェアを着て、ぺたぺたと暖色灯の廊下を裸足で歩いていく。
そんな隙だらけの星來に、勝手きままなプードルは後ろ姿を奪いにいくのだ。
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