第47話

『……Hallo?』


「Hi!My エンジェル!」


『A-ha My ラヴァー。人間文化論開始5分前ですけどunderstand?』

 

「YESおふこーす、からの出席代行を頼みたい。」


『私、すでに出席代行を4人に頼まれてるの。馬鹿も休み休み言えって天国にいるひいお爺ちゃんの声が聞こえる。』 



国際コミュニケーション学部の二人。



今更コミュニケーションを勉強したところで無意味かもしれないが、偏差値でみれば学部の中で一番低かった。学部なんてのはどこでもよかった二人。



名門大学というネームバリューさえあれば学部は関係ないらしい。



しかし次の授業である人間文化論は曲者で、出欠は今時珍しく、先生が読み上げた名前に返事をしなければならなかった。



つまり、今朱朗が電話をしている相手、星來は出席の返事をすでに4人に任されているのだ。星來自身を入れれば5人、朱朗を入れれば6人ということになる。



1人6役をやれと言われても、さすがの星來でも演じたことがなかった。





人間文化論の授業が行われる講義室。“真面目”な星來は、すでに10分前から座席に着席していた。



そして隣の席には、中高からの親友で親密である響木一弥もいた。



「……星來、誰からの電話?」



一弥が不思議そうに首をかしげ、星來に聞いた。


 

「ドブネズミ」

「あー…クズね。」

 


『こちらドブネズミのクズ、って聞こえてますけどー!』



電話の向こうからドブネズミが叫んだ。

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