〇三.Monster 17

第30話

17歳になった朱朗と星來。



二人はある映画の主演ヒーローとヒロインに抜擢された。



どちらも学業に専念するため、スパンの長いドラマのオファーは断っていたが、CMに出演することが多くなり、今回互いに初めて主役に起用されることになったのだ。



特にあのファッションショーでの一件は大きかったかもしれない。14歳が演じた彼氏彼女のようなシチュエーションが、今回の監督の目に留まったのだ。



なにせ今回の映画は学生をターゲットにした恋愛映画なのだから。



しかし高校2年生になった二人は、色々あかんことになっていた。



それはもう、7歳の面影もないほどに。

 



「ねー星來ってバスト何cm?」


「…答えると思ってんの?」


「でも心音ちゃんは教えてくれたー」


「誰すぎ」

 

「あ、あれだ、85!」


「正解」


「婆さんの年齢言ったら当たった」


「…………」

 

「それって何カップなん?」


「カップ数はアンダーとの差だからね」


「ちょ、腰さわらして」



その日は映画の初顔合わせで都内某所に集められた日だった。オールキャスト、オールスタッフを揃え行われた顔合わせは3時間ほどを要した。



今はその顔合わせ後なのだが、なぜか監督に話があるから少し残ってほしいと言われたのだ。もちろんギャランティーは発生する案件らしい。


 

「やめてってば」


「共演者のリカちゃんはさわらしてくれたんだけど」


「だけど何?私はリカちゃんじゃない」


「めっちゃほっそい腰でさ。さすがモデルなだけあるよな。二の腕なんか真っ白で皮しかないの」


「そのうちリカちゃんと法定で対面することになるわね」


「リカちゃんは俺に気があっから。連絡先聞かれたし」


「…そう。よかったね。痴漢が喜ばれて。」


「だから星來もさあ、痴漢さしてくんない?」

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