第23話

出演40分前になり、ステージ裏へと移動した朱朗と星來。



ステージ裏はスタッフとキッズの群れ、ホワイトボードに衣装の入った段ボールの山と資料であふれ返っている。



キッズはさすが選ばれたモデルとだけあって、誰も騒いだりはしていない。中にはまだ5歳ほどの子もいるのに、誘導するスタッフの後ろをきびきびとついていく。



朱朗も星來も、そんな訓練されたような小さな子供を見てため息をついた。



自分たちも小さい頃からこの世界に入っているとはいえ、明らかに世間一般からは外れた道を歩んでいると理解していた。決していいとはいえない道。



まだ泣いたり騒いでいる5歳児を見てる方が安心できたかもしれない。






二人はすでに衣装には着替えていたが、シューズは舞台袖で履き替えることになっていた。



しかし星來の赤いバレエシューズが見当たらなく、スタッフが途端に慌て出す。

  


「さっきまでここにあったのに!」

「…あれ、星來ちゃんたちがここ来た時にはあるなあって思ってたんだけど!」 


 

数人のスタッフが散らばって周りを探すも見当たらず。朱朗と星來も一緒になって探す。



「朱朗くん、これ頼まれてたハンドクリームだけど、こんなんでよかった?」

「あ、はい。ありがとうございます。」



朱朗がスタッフからハンドクリームを受け取っていて、ああ空調のせいで乾燥してるのかな、なんて思っていた星來。



いやそれよりも。今は見つからないバレエシューズだった。



出演10分前。代替のシューズを2点ほど持って来た衣装のブランド担当者。しかし朱朗とのリンクコーデのため、えんじやオレンジ寄りの赤色では少し違和感が出てしまう。



それでも仕方がないと、スタッフと衣装のブランド担当者が話を合わせた時だった。

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