第21話

控室をノックする音が聞こえ、なぜか亜泉が率先して客を招き入れる。



すると『RainLADY』の他のメンバーがぞろぞろと入ってきて。それを見た朱朗が「うげっ」としかめ面になる。



「あ、一弥いちや!」

「ああ星來。ほんとにいた。」



『RainLADY』のメンバーの一人である響木一弥ひびきいちや。ふわりとした前髪の長いパールグレーの髪。綺麗な二重なのになぜか気怠げで無表情。韓国とのハーフである。



星來が嬉しそうに、彼、一弥に駆け寄る。すると女子特有のキャッキャウフフな挨拶のノリで両手を握った。



「一弥ほんとにアイドルになっちゃったんだね〜!」


「……うん。でも自信ない。」


「なに言ってるの!歌舞伎町ホスト界では一番人気だったじゃない!」


「いや未成年がホストなんかで働けないから。単にSNSで拡散されただけだから。」 

  


一弥は星來と同じ中校一貫校に通っており、同級生だった。



一弥の家も昔から事務所にお金をつぎ込んできており、たまたまアイドルステージのバックダンサーとして出演したのがきっかけだった。



大画面に映る一弥を見た女性たちがこぞって検索し始め、それが一気にSNSでバズり、今回『RainLADY』の一員になったというわけだ。



朱朗は自分の知らなかった星來の交友関係にいい気はしなかった。なんせ自分同様、星來を呼び捨てにしているのだから。



他のメンバーと談笑するふりをして、星來と一弥を何度もチラ見する朱朗。それに気付いた一弥が、挨拶をしようと朱朗の元へ行く。

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