第17話
朱朗は自分でもよく分からないが、青司と星來の距離感にむしゃくしゃしていた。その嫉妬が後々とんでもない方向にすねらせていくとは知らず。
本番5日前、RICOコレの場当たりとリハーサルでは、実際に着用する衣装と靴を履いてポジションを確認した。
星來はジージャン素材のビスチェ風ワンピースに、フラットなエナメル素材の赤いバレエシューズ。フラットシューズのため、なんなくターンもこなすことができた。
朱朗は星來とリンクコーデで、ジージャン素材のゆるいセットアップに革素材のキャップ、赤いスニーカー。
普段の朱朗なら青司にポージングを習うはずだが、無意識の嫉妬により、自分で研究したポージングを披露した。
ジージャン素材のシャツを中開きにして、裾を左手で持ち、生地の裏側をみせる。中にはタイダイ柄のTシャツを着ているため、Tシャツを見せるためでもあった。
しかし朱朗はRICOコレのスタッフからある指摘を受ける。
「朱朗くん!裏生地見せると中のタグが見えるから禁止!」
「え?」
「ファッションショーではタグは見せちゃいけない決まりになってるの!」
朱朗はリハとはいえ自分の失態に恥ずかしくて死にそうだった。
14歳という思春期まっさかりの時期。七夕の短冊は書けるのに、仕事での失敗は嫌で嫌で仕方がなかった。
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