第36話 魔王ザルガバースの正体

「動くな」

四天王バチカルが女神アテーナイエを助けようとする智紀達を牽制した。星哉達はその場には居なかった。

バチカルは微醺を帯びたように語り出した。

「……その昔、我は魔王バチカルとしてこの世界に君臨した。しかし、四英雄により倒され、敗れた我は惨めにも岩牢に幽閉された。しかし、英雄の一人が我を岩牢から助け出した。我はその英雄を次の魔王・ザルガバースとして、次世代の後継者として……我は、こうしてして四天王の一人と復活を遂げた」

智紀が、「英雄の一人が魔王ザルガバースなんて……そんなこと信じられないよ!!」と糾弾した。

「そんなに信じられないなら、対面させてやろう」

四天王バチカルは片方の腕を伸ばした。


「魔王・ザルガバースよ!!」



そこに現れたのは……なんと星哉だった!!


「ジークフリートの融合者である星哉さんが……魔王ザルガバース?!英雄ジークフリートが裏切り者?!星哉さんが15年前の犯人?!……まさか!!」

智紀は信じられないように。

「嘘だ!!!!」乃蒼は叫んだ。


星哉はにやりと笑い、アテーナイエに剣を向けた。そしてーーーーーーーーーーー

アテーナイエの胸にその切っ先が貫いた。


「母さん!!!!」


アテーナイエは倒れた。純白のドレスが蘇芳の色に沸き返る。


アテーナイエを抱き起し、涙を流す乃蒼。



「二度も……二度も殺さないで……!!あああああああああああああああ!!!!」


乃蒼のステファノスとしての力が暴走する。

あたり一面光で溢れる。


「何だ……何だこの力はぁぁぁぁぁ」

魔王バチカルは、その光に耐えられず、消滅した。


そこに、加奈子、小夜、そしてなんと星哉が駆けつける。


「星哉さんが……2人?」

皆が驚愕している。


「あれ……バレちゃったぁ」

バチカルに魔王ザルガバースと言われ、アテーナイエを刺した星哉の姿が魔法で変わった。


その姿は……黒沢だった!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

僕は異世界であなたの宝物を捜し出す 御國漣一 @len1

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ