第8話 力の啓受

扉の奥に女神アテーナイエが立っていた

(光だ…ひかってる)

美しいその人は、智紀の祖母、由紀に似ていた。

「…由紀おばあちゃん?」

アテーナイエはまだ若かったが、智紀はあまりにも祖母に似ていたので、思わず口に出てしまった。。写真でしか祖母を知らないけれど……。


「かわいい子よ。よく来ました。あなた方が来るのを待っていました」


女神アテーナイエが微笑んだ。慈悲を持ったその微笑みは叔父・乃蒼にそっくりだった。


「力の啓受を受けたいのですね。一人ずつ、前へ」


まず、蘭が力の啓受を受けた。

「この子に何が向いているのか、ミネルバが教えてくれます」アテーナイエが言った。

アテーナイエの肩に止まっていたフクロウが、

「この子に向いてるのは…銃使い!!!」と喋った。

蘭は喜んで受け入れた。

「それでは、力の啓受を始めます」

アテーナイエの両手が光り、蘭を包んだ。

蘭が銃使いの姿になった!!

「うお~。すげえ」蘭が言った。

「蘭、かっこいい」皆が言った。


次は、光の番だった。

フクロウは、「白魔導士!!」と叫んだ。

アテーナイエが力の啓受をおこない、光が白魔導士の姿になった。


次に、蓮羽がアテーナイエの前に立った。

「竜騎士!!」

フクロウが叫び、アテーナイエが蘭や光と同じように力の啓受を行った。


次に史郎だったが、フクロウは史郎の職種に悩んだ。

悩んで末に、

「黒魔導士!!」

と叫んだ。アテーナイエに無事啓受を受けた史郎はへなへなと座りこんだ。

「史郎、えらいえらい」智紀が褒めた。


最後に智紀だった。

アテーナイエは、

「貴方の職業は決めています。ナイトです。私はこの世界を乃蒼を救うために作りました。お願い。かわいい子よ、あの子を助けて。この世界「エリュシオン」を旅してこの世界のどこかにある、ステファノスという宝を得て、魔王ザルガバースを倒して下さい」


智紀はアテーナイエの光に包まれ、力を啓受した。


「さて、旅立ちの時間じゃ」コロ爺が懐中時計を片手に言った。


「おばあちゃん!!」

智紀はアテーナイエに抱きついた。

アテーナイエは優しく智紀を包み込むように抱きしめた。


「敬愛なるエリュシオンよ。闇夜を照らす、この者たちをお守りください」

女神アテーナイエが祈り、手を天に上げると、智紀達は光に包まれ転送されたーーーーーーーーーー。

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