第4話 15年前の犯人
次の日、智紀は学校で、蘭、光、蓮羽、史郎に叔父の様子と魔王ザルガバースの事を話し、
「叔父さんを助けたいんだ!!魔王ザルガバースをやっつける!協力してくれる?」と皆に言った。
「あったり前じゃん!魔王絶対倒してやる!」蘭が言った。
「叔父さん無事でよかったね。私も力になる!」と光がいい、
「しゃーねーな」と蓮羽がいった。
「魔王なんて怖い…」史郎が言うと、蓮羽は「じゃ、お前は置いてく」とみんなで歩きだした。
「待ってよ!!僕も行く、僕も行くよ!!」史郎は慌てて皆の後を追いかけた。
智紀たちが向かったのは、市の図書館だった。事件の事を調べたかった。
「あったわ、これよ」光が15年前の新聞を見つけ出した。
「2009年12月27日 市内の住宅地のある一軒家に、覆面の男が刃物を持って押し入った。この家の主・作曲家の義光さんが玄関で男と乱闘して、刺され死亡。妻の由紀さんがリビングで刺された。2階でピアノを弾いていた次男・乃蒼くん(当時7歳)は、犯人と居合わせたが無事だった。妻の由紀さんは、刺された後、乃蒼君を助けに行こうと5メートル身体を引きずり、絶命した。長男の正君(15歳)は部活の為家におらず、被害を逃れている」
と書いていた。
「ひどい事件!犯人は、智紀の叔父さんと居合わせたけど、何もしなかったんだね。何があったんだろう…」史郎が言った。
読み進めると、犯人の顔写真と名前が載っていた。犯人は、家に押し入った実行犯とそれに加担した2人の複数犯だった。
実行犯であるザルカワ。
事件を起こしたとは思えない気弱な優男だった。
そして犯行に加担した、リーダー的存在タカと共犯者ユイト。
タカは、細身の黒髪で髪の長い、目つきの悪い男だった。
ユイトは活発そうな軽い見た目の男。
3人は、被害者である智紀の祖父・義光の親友達で、家族ぐるみで仲が良かったという。
「友達なのに、裏切ったんだ!!」智紀は憤りを隠せなかった。
3人は無罪を訴えていたが、動機があった。
ユイトにはギャンブルで借金があった。相当金に困っていたらしい。裕福な義光の金を狙った犯行だと、警察は考えた。
次にリーダー的存在のタカは、義光の作曲家としての活躍、美しい妻・由紀を配偶者にしたという成功に不満を感じていたらしく、他の知人に義光の愚痴や悪口を頻繁に話していたという。恨みつらみは相当なものだった。義光とも口論になることも多かった。
実行犯のザルカワは、リーダー格のタカに逆らえず、犯行を犯したと考えられた。
妻の由紀とは幼馴染で、幼い時から由紀に好意をよせていたことも犯行の動機になった。
「犯人たちは無実なのか?」蘭が呟いた。
「でも、動機があるわ。つかまって、3人とも終身刑になってる」
光が言った。
「叔父さんは、魔王が来るって怯えてたんだ。もしかしたら、この3人の他に犯人がいるのかもしれない…」智紀達はう~む、と考え込んでしまった。
「とにかく叔父さんの所へ行こう」5人は叔父・乃蒼の入院している病院に行くことにした。
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