第2章 第19話「共に歩む決意と不穏な影」

朝日が差し込み、彩菜は昨日の疲れが少し癒えたような感覚で目を覚ました。我如古からもらった朝食が手元にあり、その香りが彼女の心を少しだけ和ませていた。食事をしながら、彩菜はふと我如古たちが今後どうしていくのかが気になり、彼に尋ねてみた。


「我如古さんたちは、これからどうするつもりですか?」


すると我如古は少し考え込んだ後、真剣な表情で答えた。「実は俺も一度北谷の様子を確認したいと思っていたんだ。だから、できれば君たちと一緒に行かせてもらえないだろうか?」


その申し出に彩菜は驚き、思わずおばぁの方を振り向いた。アイコンタクトで「どうすればいい?」というサインを送ったが、おばぁは小さな笑みを浮かべるだけで、何も言わずに頷くだけだった。その頷きは、「好きにしなさい」という意味が含まれているようで、彩菜は内心で「それだけ!?」と突っ込みを入れたくなった。


再びおばぁに視線を送り、「いや、だから具体的な指示をいただけると…」という思いを込めてさらに頷くが、おばぁは「ふふふ」と静かに微笑んでいるだけで、微動だにしない。最終的におばぁは、彩菜に向かって「お好きにどうぞ」とでも言いたげな表情を浮かべているように見えた。


(…役に立たない!)


心の中でツッコミを入れつつも、彩菜は我如古に向き直り、冷静に状況を説明することにした。「現状、車や自転車といった移動手段がないため、北谷への移動はすべて徒歩になるんです。食料も、その都度確保しないといけない状況で、昨夜分けていただいた分しか余裕がないんですけど…それでもいいですか?」


彩菜の説明を聞きながら、我如古は「ふむ」と頷き、顔に決意の色を浮かべた。「了解だ。幸い、ここは俺の地元だから、道中で知っている店に立ち寄って、できる限り食料を調達することにしよう」


その言葉に、彩菜もおばぁも少し驚いた。我如古は、一歩も引かない態度で同行を決めており、その強い意志が感じられた。彩菜は改めて我如古の頼もしさに気づき、彼の申し出を受け入れることにした。


「ありがとうございます。我如古さんが一緒だと、頼もしいです」


我如古は軽く微笑みながら、「まぁ、俺も宜野湾のことなら少しは役に立てるはずだ」と自信ありげに答えた。


こうして、彩菜、おばぁ、そして我如古の三人は陽が高くなる前に出発することにした。まず向かうのは宜野湾ビーチ。彩菜が感じていた異様な気配の原因を探るためだ。三人はそれぞれ出発の準備を整え、ビーチへ向けて歩み出すことにした。


準備をしながら、彩菜は自分の胸の中でわき上がる不安と期待を感じていた。

そして三人がいよいよ出発の準備を終えると、宜野湾シティの住居エリアから宜野湾ビーチに向かって歩き出した。その道すがら、彼らの背後には恨めしそうに見つめる一つの影があったが、三人ともその視線には気づかなかった。


静まり返った住宅街を抜け、彼らはビーチへと歩みを進めていく。

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