第4章 独り

彼女の絶望はまだ終わらない。

終わらせてたまるものか。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「うぅ…フェルダぁ…」


 フェルダを失ったマリアンヌ、セイラ、コレットはさめざめと泣いた。


 しかし、いつまでも泣いているわけにはいかない。こうしている間にも時間は流れていき、飢えという危機がじわじわと彼女たちにせまっているのだ。なんとか立ち上がった3人は、再び食料を求めて歩き出す。


 かろうじて、彼女たちが普段アフタヌーンティーに食しているフルーツを発見。こうして食料と水と住処の問題は解決した。あとは島からの脱出方法である。


「この島には木が豊富にあります。丸太が3本ぐらい転がっているでしょう。それをツルでしばってイカダを作りましょう」


「さすがセイラさん。その頭脳に感謝しますわ」


脱出用のイカダ製作を始める3人。




 今日はさっそく1本目の丸太を手に入れた。転がして運搬し、浜辺へと運ぶ。


「この調子で2本目も手に入れましょう」


2本目の丸太を手に入れようとする3人だったが…




「グルルルル…」


「…はっ!?」


ここで運悪く獣に遭遇してしまう。


「い、いやあああぁああぁぁぁ!!!!!」


セイラが獣につかまってしまった。


「ひ、ひいいぃぃぃぃぃ!?」


マリアンヌとコレットは慌てて逃げだした。


「ま、待って!たすけ…」


そのままセイラは獣に食われ、命を奪われた。





「はぁ…はぁ…ご、ごめんなさい…セイラさん…」


セイラを見捨ててしまったマリアンヌとコレット。


「…マリアンヌ、あんた責任とりなさいよっ!!」


コレットが突然怒り狂った。


「こ、コレット…?」


「そもそも、あんたがエリーナを"教育"しようなんて言わなければっ!

 クレスタの怒りを買わずにすんだ! こんなことにならなかったっ!

 エリーナなんて、ほっとけばよかったのに!

 あんたなんか、勉強ができるだけのバカよっ!

 クレスタ王子の婚約者に選ばれたからって、あんたいつも偉そうに!」」


慣れない島での生活、そして2人の友の死によって、精神が崩壊したのだろう。コレットは狂ったように怒鳴り散らした。


「ば、バカですって…!?」 


「事実でしょ! あんたがバカなせいで、フェルダは毒を食べて死んだ!

 あんたが無知なせいで、フェルダが死んだんだよっ!

 毒だと知っていたら、フェルダは無事だったでしょ!

 セイラも死なずにすんだ!あんたが武器について知っていたら…!」


「黙りなさい、コレット!無茶苦茶なことを言わないで!!」


「黙らないわよ!あんた、責任取って死になさいよ!」


言い合う2人。と、そこへ、2人の大声を聞きつけた獣が現れた。


「ひ!いやあああぁああぁぁぁ!!」


「だれか助けてえええええええ!!」


必死に走るマリアンヌとコレット。途中、コレットが石につまづいて転んでしまう。


「あ、ああああああああぁぁぁぁああぁぁぁ…!!」


コレットも獣に食われて死んでしまった。





残ったのは、マリアンヌだけ。




「はぁ…はぁ…、も、もう、いやあっ!

 クレスタあぁ!あんたを呪ってやるうぅぅぅぅ!!」



マリアンヌの怨嗟の声が、むなしく空に響いた。

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