第131話

とにかく、君との接点がほしい。

今日ここで終わるわけにはいかない。



「 2日に一度はここにいるんだね。

じゃあ、僕もそうしようかな。

ユウミが居れば退屈しないし。

晩酌が良い発散になる。ストレス社会の。 」



もっともらしいことを言い、君の反応を伺う。

君は何かを考えるように、僕の顔をじっと見る。


しばらくして、何か良いことを思いついたのか

君の顔がパッと明るくなった。



『 うん。おいでよ!

不甲斐ない社会について2人で語ろうよ。 』



"不甲斐ない社会"という君らしくない言葉に

思わず笑ってしまう。



「 やっぱり小説家に向いてるよ! 」



それにしても、あっさりと上手くいきすぎだ。


さっきも思ったが、君はガードが緩すぎないか?

"あの子"はこんなに単純ではなかった。


無意識にまた君と"あの子"を比べていたことに

気付いて、はっとする。


不毛な気持ちを一瞬でかき消した。


そんな僕を見ていた君が

思いのほか可愛い顔で微笑んできたので

僕もそれに微笑み返す。


・・・


僕はこれから、君と"あの子"に翻弄されるのだろう。

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