第65話

18時。駅前に着いた。

ロータリーのベンチに座る。



『 ユウミ。お疲れ様。 』



顔を上げた私に、爽やかに挨拶をするリョウジ。


いつにも増して、かっこいい。

まるで王子様だ。



「 お疲れ様。 」



『 今日、バイト帰りでそのまま来たから

車なんだけど、いい? 』



「 もちろん。 」



私がそう言うと、行こうって手を引いて

歩き出したリョウジ。


フリーターのリョウジの車。

多分私が乗ったことがないようなの。

楽しみ。

学生っぽい車だと嬉しいな、なんて。

ワクワクしながらリョウジ後に続く。



『 乗って。 』



え?この車?

フリーターの人でも、こんな車が買えるの?

いや、失礼だけれども。



『 どうしたの? 』



「 あ、ううん。何か、意外だったから。 」



『 意外って? 』



不思議そうな顔をするリョウジ。



「 何でもない。ありがとう。乗るね。 」



やっぱり変だ。

リョウジはフリーターじゃない。

絶対に違う。

今確信した。

百歩譲ってフリーターだとしても、御曹司?

そうでもないと、この車は買えない。


・・・


徐々にリョウジの正体に近づいている。

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