第57話

「 昨日、母親から連絡が来た。

3月23日にマンション解約するんだって。 」



『 へぇ。本当に迫ってたんだ?タイムリミット。

ユウミはどうしたいの? 』



肘をつきながら、首を傾げるリョウジ。



「 私はとりあえず帰らないといけない。

けど結婚はしない。リョウジと一緒にいたい。 」



『 それはユウミが決められることなの? 』



鼻で笑う、リョウジ。

苛つく。



「 決められる、、ことではないけれど。

もう好きになっちゃったんだもん。 」



そう言うと、リョウジは吹いた。



『 ごめん。苛めすぎた。あまりに可愛いから。』



ごめんごめん。

そう言いながら、目から溢れそうな涙を拭ってくれる。



『 だけどユウミ。家の決まりごとから

逃げ出すのは、そんな安易なことじゃない。

しっかり覚悟を決めて、もっと計画的にしなきゃ

結局引き裂かれるだけだ。 』



私の頬に手を置いて真剣な眼差しで、そう伝えるリョウジ。

リョウジの手は温かくて優しい。



「 分かってる。

だけど、人生で初めて欲しいものができたの。

失いたくない。

リョウジと一緒に、普通の恋愛をしたい。

ずっと両親の言うことを聞いてきたの。

でも、リョウジだけは譲れない。 」



私がそう言うと、リョウジはなぜか爆笑する。

やっぱり、馬鹿にしてる。苛つく。


・・・


じゃあ一緒に作戦を練らないとね。

リョウジはそう言って、またクスクス笑った。

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