第55話

浸っている最中、急に電話が鳴る。



*****

Calling from ママ

*****


『 ユウミ。おはよう。元気にしてるの? 』


「 うん。どうしたの? 」


『 あなたのマンションの解約の電話を

今日しようと思っているの。

あなた、全然解約する様子がないから。

1ヶ月後だから3月23日に契約終了ね。

だけど、それより前に帰ってくるでしょ? 』


唐突だ。

いや、もともと両親との約束はあったから

唐突ではないのだけれども。


せっかく見つけた、初恋。

私は大切にしたい。


「 帰ることは分かっていたし、

ママとパパとの約束はちゃんと守るけど。

お見合いだけはしたくないの。

好きになった人と自由に結婚がしたい。 」


『 とりあえず、その話は帰ってきてから。

私たちも何も嫌がらせでしてるわけではないの。

それは分かるわよね?

あなたのことが心配だから、きちんとした相手と

早く結婚してほしいの。 』


それは、痛いほど分かる。

だけど、もうリョウジのことを

好きになってしまった。


とりあえず、ここで揉めるのは賢くない。

話は実家に引っ越してからだ。


「 分かった。じゃあまた帰る日程が決まったら、連絡するね。 」


『 ユウミ。待ってるから。 』


・・・


"待ってるから"


何だか、胸騒ぎがする。

それと同時に、ふわっと温かい感じがした。

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